テレビに出ている自分の姿を見て反省

ヴァイオリニストの私がバラエティ番組などにも出演しているのは、最終的にはコンサートにたくさんのお客様に来ていただきたいからです。この人のコンサートは楽しそうだな、と思ってもらいたい。そのきっかけを作るチャンスをいただいているので、テレビのお仕事は大事にしたいと思っています。でも、場合によっては家族にも迷惑をかけるから気をつけなくちゃいけないな、とも。

先日、私が出演しているテレビ番組を家族揃って観たんです。普段はそんなことしないんですが、自粛生活中だったので。もう、びっくりですよ。私、自分があんなに下品に大爆笑したり、長嶋一茂さんのことをぼろくそにこきおろしたりしているなんて思わなかった。ショックを受けて、息子たちに「ねえ、ママ、いつもこう?」と聞いたら、「いっつもだよ」。「家でもこう?」「ううん、家ではもっとひどい」。

でも次男は、「このままでいい」と言ってくれます。「俺、ママはこうじゃなきゃイヤだから」って。

一方、長男と夫は、「やめてほしい」と思っているみたい。夫は、テレビに出ている私は見たくない、ネットニュースも読みたくないんですって。そのかわり、クラシック音楽の殿堂「サントリーホール」でコンサートを開いたあとはむちゃくちゃ優しい。音楽家としての私だけが尊敬されていて、それ以外は蔑まれている感じです。

外出自粛で、突然家族4人で過ごすことになったこの数ヵ月。仕事ができずこもりっきりで、鬱々として息が詰まりそうになったけど、悪いことばかりではなかったかな。4人でゆっくりトランプやUNOをするなんて、以前だったらありえなかったと思うんです。

息子たちが将来何になりたいかについて、落ち着いて話すこともできました。いつもなら頭ごなしに、「お前は◯◯になれ」とか、「決められないなら、ママが決めるわ!」みたいな感じだった。

今回は彼らの話をゆっくり聞き、「なりたいものがみつからないなら、なれるものから考えてもいいんじゃないの?」なんてアドバイスをしました。そんな時間を持てたことが家族みんなにとって幸せだったと思います。

長男は秋にはアメリカに戻る予定なので、それまでの時間を大切にしたいです。次男はもうね、着々と女たらしに育っていて……。聞こえるか聞こえないかのささやき声で「オレ、なんでこんなにママのことが好きなんだろう」なんて言うの。それを聞いて長男は、「オエ~、お前、よくそんな気持ち悪いことが言えるな」って。「うるさい! 黙れ!」と、怒鳴る私を夫は笑っています。こんな賑やかな毎日って、悪くないです。