十七時五十五分。
秋葉原の雑居ビルの八階。待ち合わせ場所の大衆居酒屋にエレベーターで降り立つと、順番待ちの客がエレベーター前にたむろしている。
予約を取っておいて、正解だった。
「お、BLUEくん、ちょうど来たね」
声をかけてきたのは、腹が突き出た男だった。どこにでもいるようなタイプの典型的なおじさんだが、有名な漫画キャラと同じデザインのネクタイですぐに分かった。
「モリシーさん」
これもハンドルネームである。
「私も今から入るところだ。一緒に入っちゃおう」
モリシーは店員をつかまえて、「四名で予約したモリタです」と言う。
モリタで、モリシー。
オフ会を開くと、期せずして本名を知ってしまうことがある。それを気にしてか、本名に近いハンドルネームのモリシーがいつも幹事を引き受けてくれる。
