ゲームが趣味の会社員・青峰のもとに、大学時代の友人・大村茜から結婚式の招待状が届く。しかし彼女の結婚式当日、青峰にはどうしても外せない予定があった。
それは、新作ゲーム「メグルの伝承」をプレイした仲間たちとのオフ会で――。
気鋭のミステリー作家・阿津川辰海さんによる、ゲーム愛たっぷりの一編!
それは、新作ゲーム「メグルの伝承」をプレイした仲間たちとのオフ会で――。
気鋭のミステリー作家・阿津川辰海さんによる、ゲーム愛たっぷりの一編!
2
――それから約四十八時間後。
青峰はソファの上で目を覚ました。
眼精疲労で目が痛む。背中も肩も凝りまくっていた。
青峰は急いで時計を見る。
「……十三時」
日付は六月二十六日。オフ会当日だ。
あと五時間しかなかった。
異様に体がだるい。熱はないが、このまま眠っていたいような気がした。
手元のスマートフォンには、Facebookの画面が表示されている。
大村茜のアカウントだった。そこに、結婚相手の写真がある。ゴンゾー、という男らしい。
青峰は舌打ちしながら、寝ぼけてヘンなコメントや「いいね」をしていないかチェックする。ない。はあ、とため息を吐いた。
青峰はLINEを開いた。「すみません、体調が悪くなって」と、オフ会のグループLINEの画面に打ち込んでから、送信する前に削除した。
「ダメだ」
口に出して、気持ちを奮い立たせる。
今日集まる大衆居酒屋は、コースで予約している。あそこの店は、コースを四人から受けてくれる。青峰が休んだことで、会自体がお開きになるのは避けたかった。
――それに、それにだ。
青峰としては、結婚式への参列を蹴ってまで、参加を決めたオフ会である。そちらまで蹴ってしまっては、いよいよわけが分からない。
――過去の恋を捨てよ。お前は新しい恋に邁進するのだ。行け!
青峰は謎のテンションで自分の心と体に鞭を打った。そうでもしないと動き出せなかった。
ソファから身を起こし、冷蔵庫の中にずらっと並んだエナジードリンクを手に取った。プシッと小気味の良い音が鳴る。
――今は、やるしかない。
青峰はゲームを起動した。
