サボテン独自の生きる知恵

サボテンの進化の歴史を振り返ったうえで、他にもサボテンの見え方が変わるおもしろい話をいくつか紹介しましょう。

動物のように逃げられない植物たちは、身を守るために二つの武器を持っています。「化学的防御」と「物理的防御」です。

『自然はすごい いつもの道が美しく見える5つの視点』(著:ノダカズキ/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

化学的防御とは、いわゆる「毒」です。ウルシの仲間などが有名ですね。触るとブツブツになる、あれです。毒と聞くと怖そうに聞こえますが、植物にとっては自己防衛そのもの。

私の友人に、「なんでも一度は食べてみないと気がすまない」という困った人がいます。ある日、彼女は漆の葉っぱを天ぷらにして食べました。結果は想像に難くありません。口の中が腫れあがり、数週間、腕や背中がかぶれ続けました。でも彼女は懲りないんですよ。3ヶ月後にはまた別の毒草に手を出し、お腹をゆるくしておりました。

マンゴーもウルシ科の植物です。ウルシノールに似た成分が入っていて、敏感な人は口の周りがかぶれます。実際、森に行かなくても、都会の果物売り場でうっかりウルシかぶれになってしまう人もいるのです。

ただし、植物の毒は何も猛毒ばかりではありません。春の山菜がほんのり苦いのも、れっきとした化学的防御の一つです。動物が食べるのをためらうような味を持つことで、自分の身を守っているのですね。でも、この「ちょっと苦い」が、人間には「旬の味」だったりするわけで、なかなか粋なものです。