すやすや昼寝

1996年6月11日昼過ぎ、広島県北部で観察し続けていた若いメスグマはこの日、コナラの根曲がりの上に腹這いになり、両手足を伸ばして眠っていた。

私は小川を渡って7メートル手前に立ち、コンパクトカメラで連写した。

『家に帰ったらクマがいた』(著:米田一彦/PHP研究所)

クマの背中には、根株に張りついていた苔類がびっしりとついている。クマは眠りから覚めると、今度は根曲がりの上に仰向けに寝て、ゆったりと背中、腹、首、頬を掌で撫で回した。時々、爪を剥き出しにして肌を掻くときもある。両前足の動きが大きくなり、空を掻くようになり、クマの踊りが始まった。

手首をくねくねとひねり、後ろ足首もゆるゆると揺らし、体もS字にくねらした。そんな踊りを20分も演じてくれた。

クマは昼寝をする。思っていたとおりだ。