大事なものに気づかせてくれた『エリザベート』
同じ2015年に『エリザベート』に初めて出演したことも、自分にとって大きな転機でした。ミュージカルに出るまではクラシックをやっていたので「いかに大きい声、いい声を出すか」ということばかり考えていたんです。
でも、共演した同学年の城田優くんと山崎育三郎くんに「なんでそんなでかい声で歌ってるの?」と言われて。「お客さんは声を聴きに来ているんじゃなくて、お芝居を観て、感動するために来ているんだよ。いかに感動してもらうか、何を届けるかのほうが大事なんだ」と教えてもらいました。
『エリザベート』の演出を手掛ける小池修一郎先生は、「姿勢」をとても大事にされる方です。舞台に立った時のたたずまい一つで、その役に見えたり、見えなかったりすることも。
オーストリア皇帝であるフランツ・ヨーゼフは、国の運命を背負っている王で、常に緊張もしている。だから彼を演じる時は、できるだけ背筋を伸ばすように気を付けました。とは言ってもすぐに身につくものではないので、普段のウォーキングから、通りすがりの人が驚くくらい胸を張って歩いたりして。(笑)
初めて『エリザベート』に出た時は全くの無名だったので、「やってやるぞ」くらいの気持ちでした。さまざまな役を経験させてもらい、皆さんに知ってもらえるようになると、今度はこれがプレッシャーになってきて……。でもいつもそのプレッシャーを超えていきたいと思っています。
2019年に『レ・ミゼラブル』でジャン・バルジャン役を演じたことは、皆さんに知ってもらう大きなきっかけになりました。レミゼはお芝居も難しく、歌も自分のキャパを超えるような音域で、もう本当に演じるのが大変な作品なんです。
ほかのミュージカルだと安心して舞台に立ったり、お芝居に集中できたりするんですが、レミゼの公演中は、朝起きて少しでも調子が悪いと、劇場への足取りが重くなる。それでも「自分を信じて」と自分を鼓舞しながら舞台に立っています。だからこそ、毎公演カーテンコールではものすごくやりきった感覚があって、それが忘れられなくてまたやりたくなっちゃうんですよね。(笑)
