監督の温情

「30分で終わったこともあるよ」

工事現場では、作業した証拠として交通誘導員を立たせてその光景を写真撮影する。ところが作業員が撮り忘れることがある。そのとき作業員はどうするのか? 証拠写真を“捏造”するのだ。

『年金だけじゃ生活できない!「定年バイト」奮戦記』(著:林山翔平/秀英書房)

作業が完了しているのに翌日も警備員を現場に呼び、路上に立たせて撮影。これを前日の工事風景として書類に添付する。写真撮影は30分で終わる。撮影が終わると内藤さんはお役御免で帰宅できる。念のために言うが、30分でも日当1万円はちゃんと支払われる。こうして午前8時30分に業務が終了。なんとも羨ましい。

現場の工事監督が気を利かせてくれることもある。やるべき作業が終わり、翌日はコンクリ屋や電気屋などの工事業者が来ない。そのことがわかっていながら、警備会社に連絡をしない監督がいるのだ。その結果どうなるのか。

「われわれ警備員は現場に呼ばれるけど、何もやることがない。朝8時に現場に行くと監督が『今日は作業がないから、もう帰っていいよ』と言ってくれる。おかげでわずか10分で帰れる。われわれにラクして稼がせてやろうという監督の温情だね」