屋内の仕事は狭き門

勝俣さんは区が運営する施設の受付係を希望した。スポーツセンターや文化センターには70代の男性が受付に座り、訪問者の質問を受けたりしている。その光景を思い出し、「ラクそうだから、やってみたい」と思ったのだ。だが期待に反して、

「屋内の仕事は人気が高いので狭き門。現在は空きがありません」

『年金だけじゃ生活できない!「定年バイト」奮戦記』(著:林山翔平/秀英書房)

と宣言された。そのため働くのを諦めようと思ったら、

「ちょっと待ってください。健康のため屋外で働きたがる人も少なくありません。勝俣さんもトライしてはどうですか?」

と持ちかけられた。

「健康のため?」

「ええ。体を動かしていたほうがアンチエイジングになるんです。本当です」

こう言われて、なるほどと思った。幼友達はみな仕事を辞めて家でプラプラしている。彼らの多くが年齢より老けて見えるのだ。

担当者はたたみかけるように言った。

「屋外で働くと日光を存分に浴びるせいか、肌が若返るみたいですよ」

本当に日光に若返り効果があるのかはわからないが、この言葉が決定打となって勝俣さんはシルバー人材の屋外労働を決めた。その際にこう考えた。

「どうせ屋外で働くなら植木屋をやりたい」

植木屋は子供のころからの憧れの仕事で、シルバー人材にもある。だが妻や子供たちから「木から落ちたら大変だ。やめてくれ」と止められて見送った。