まぶたが垂れた自分の顔がイヤ!

伊藤 私もまだ、歯の問題は起きてないです。目はね、そりゃ老眼でメガネがなきゃ夜も日も明けないですけど。そして、メガネをよく失くすわけです。

阿川 そうそう。だから予備のメガネをあちこちに置いてある。あと、テレビのバラエティ番組に出ると画面の隅っこに小さくひとりで顔が映される「ワイプ」っていうのがあるでしょ。そこに映る自分の顔がイヤ! まぶたが垂れてきて「あのつぶらな瞳はどこ行っちゃったの」って思うの(笑)。さらに老眼で目をしかめながらモニターにらんでるからか、後で番組を見て「婆ァが出てんじゃん。あっ、私だ」って落ち込むのよ。ワイプ抜かないでくださいって頼んであるんだけど。

『サワコと比呂美 女じまい』(著:阿川佐和子、伊藤比呂美/中央公論新社)

伊藤 ははは。アレはどうです、何だっけ、アイプチ? プチ整形?

阿川 眼瞼下垂、の手術ですか。少し前、食事会で同級生の男性と向かいの席になったとき、その友人がまじまじと私の顔を見て「手術、したほうがいいよ」って言ったの。「すごくつらそうだから」って。こっちとしちゃ「別につらくありませんけど」と答えつつ、 憮然としたわね。そんなに醜いんですかって。別に視野も狭くないし生活に支障がないから、手術までは考えてないけど、でも、もう少ししたらやったほうがいいのかしら、って思わないでもない。ただ……プチ整形って絶対バレるでしょ。

伊藤 あれ、なんか違うねーとか言われるのもね。

阿川 でしょう。だから、婆ァは婆ァとして粛々と生きていこうと思う。

伊藤 それしかないわよね。

阿川 あちこちガタがくるのはしかたない。でも、できる限り健康というか、仕事を続けられる身体ではいたいね。