近づく母の面影

伊藤 そうなのよ。でね、うちの母も、母方の叔母も、背中がこう丸まって盛り上がる姿勢してたんですよね。あれにも絶対、なりたくない。せっせと運動して、背中を開いて、まっすぐ歩こう、まっすぐ歩ける身体であろうとしてる。私ズンバを再開してからこっち、膝や腰が痛いってことがないもの。今は健康に関して、なんの不安もないわね。……そうだ阿川さん、尿漏れってしますか?

阿川 えっ、何をいきなり。尿漏れはないなあ、まだ。

伊藤 私も。何せ鍛えてますからね。尿漏れ予防になるケーゲル体操ってあるでしょ。ズンバやってると腰をめっちゃ動かしていろんな筋肉を意識するから、自然と予防にもなってるんです。

阿川 伊藤さんがズンバに心血を注いでるのは、老化しないためだったのね。えらい! 私も何かしなきゃと思いつつ、何にもやってないね。さっき爪の話をしたけど、母の巻き爪なんかを思い出すと、私もいずれは母のようになっていくんだなと確信するの。体質や体形は、年々、母親を感じることが増えますね。

伊藤 はい、私は孫が生まれたとき、その抱き上げた自分の手を見て「あっ、母の手だ」って思った。

阿川 私、顔立ちは母とまったく違うんだけど、ふたりとも小柄でちょこちょこ走り回る“小走り女”なの。ここ2年くらい、弟に「母さんそっくりになってきたね」、あと「ねえちゃん、小さくなったなあ」って、会うたびに言われてる。

伊藤 小さくなったんですか。

阿川 はい! 去年、久しぶりに人間ドックで計測したら、148センチって。長年、150センチのつもりでいたのに。

伊藤 2センチは大きい。私たちの歳なら、確実に縮んでいきますよね。

阿川 まぁ、そうは言っても、自分が子どもとして見ていた当時の親の年齢は、とうに越えているからね。私の母は、明るくて率直な認知症になってくれたけど、私がそうなる保証はないでしょ。性格的にはチョー短気な父の気質を受け継いでいるから、朝から晩まで怒ってたり、そこらへんにうんち投げたりするかもしれない。

※本稿は、『サワコと比呂美 女じまい』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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サワコと比呂美 女じまい』(著:阿川佐和子、伊藤比呂美/中央公論新社)

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