七代目綱太夫の系譜でもある、咲甫太夫さんが六代目竹本織太夫を襲名するのは、2018年の1月3日。大阪の国立文楽劇場で華やかに初日を迎えた。
――祖先の名跡であり、師匠の父親でもある八代目綱太夫の五十回忌追善で、織太夫を襲名したということは実に劇的なことで、これは僕の第2の転機ですね。
披露の演目は『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』「合邦住家(がっぽうすみか)の段」。二代目綱太夫が現在の形に作り上げた所縁の演目です。
まず、「端場(はば)」を南都太夫さんと私の弟の鶴澤清馗(せいき)。「切(前)」を師匠の咲太夫と伯父に当たる鶴澤清治、「後」は私と鶴澤燕三さんでつとめました。
ですから「合邦」の端場、前、後、全部親族でつとめているんですよ。こんなことって、文楽ではなかったことですよね。歌舞伎では一家一門でというのがよくありますけど。
そして、その年の四月から番付の序列で幹部扱いとなる「太字(ふとじ)」に昇格しました。これも嬉しかったですね。文楽では太夫と三味線はお揃いの肩衣(かたぎぬ)を着けますけど、時代物、世話物、また季節によって結構種類があります。
これみんな太夫が用意して、三味線の方にお貸しして着ていただくんです。紋も太夫の紋がついてますのでね。
でも襲名となると、これはすべて差し上げます。人形遣いさんの袴も出演者へ作って、一人一人に袴を持ってご挨拶に伺います。準備に一年半はかかりましたね。