「編集長」を生み出したのは、外部から高く評価されたくてたまらない私の心でした。でも、今回のアルバムには、本当に思ったこと、感じたことだけを書きたかった。だから、「編集長」なしで作ることにしたのです。

数字で評価が露わになるこの世界にあって、その数字に囚われずに自分の発信したいことを信じて出していく。シンガーソングライターになると決めた18歳のとき以来、一度もできなかったことに、今初めて挑戦しています。(笑)

それから、「Dance with Dark-ness」という曲では自分の心の闇を掘り下げることを、「聖なる下水道を降りていく」と表現しました。臭くて汚くて見たくないもののなかを一歩ずつ降りていく。怖いな。モンスターでもいるのかな。

ところがよく見ると、闇の住人は全部自分。泣いている子、外に一歩も出られなくなった「ハーフ」の子、周りに認められたくて無理しちゃう子……たくさんの自分をちゃんと見つめて受け入れ、「統合」していこう。これはアルバムのテーマでもあります。

「Floating Planets」は、長く一緒に暮らしてきた人と離婚したあと、40代になってから経験した恋愛を歌った曲です。20代とは違い、物事には終わりがあることも知っている40代の恋。でも40代なりの不安もあって……という、幸せと別れが背中合わせの現実を、リアルに描いてみたいと思いました。

さきほど外部評価のお話をしましたが、人から認められたいという気持ちは、誰かに愛されたい気持ちと同じですよね。

かつての私は「愛されてなんぼ」の人だった。相手に手を差し伸べて100%愛しているつもりでも、実際は「だから私にも愛をちょうだい」と、反対側の手を差し出して見返りを求めていました。

私はこれまでに2度、離婚を経験していますが、愛されたい気持ちが強すぎて、相手に多くを与えられなかった、十分愛してあげられなかった、と今ならわかります。