「僕の成長を描いた〈太郎メモノート〉は3冊しかないよね……。」(太郎さん)「僕はもう、光子で満足しちゃったから。」(みつのりさん)

太郎 〈くかき〉はもちろんお父さんの目には見えないんだけど、ノートにはちゃんとその姿が描かれている。お姉ちゃんに聞いて、モンタージュみたいにして作ったの?

みつのり そうそう。「おめめはお皿のようにまん丸で」「しっぽが生えてて」みたいに光子が話すのをふんふんと聞いて、僕が描いてみせたのを、「それでいい」とか「ここは違う」とか直していったの。

太郎 お姉ちゃんが、「私が〈くかき〉の話をするのを、お父さんがそのまま受け止めて絵にしてくれたのが嬉しかった。小学校に上がったら会えなくなった〈くかき〉と、本でもう一度出会えた」と言ってくれて、僕も本を作って良かったと思ったよ。

みつのり 展覧会やイベントでも、いろんな人から「私にも〈くかき〉がいました」って、声をかけてもらったね。

太郎 ある若い男性が、「自分にも〈透明ちゃん〉っていう友だちがいました」って話してくれたんだけど、それを当時親に話したら、お祓いに連れて行かれたそうだよ。(笑)

みつのり それはひどいなあ。

太郎 それ以来、透明ちゃんは見えなくなるし、「お前は面白くなくなった」と周りに言われるようになるし、ショックだったって。

みつのり あはは。感受性の強い子は、自分を安心させるために、思いをわかってくれる存在を作り出すんだよね。その相手と交信しながら、なんとか心のバランスを取って生きようとしているのに、それを奪ったらいけないね。