芸人で漫画家の矢部太郎さん(右)と、絵本作家の父・やべみつのりさん(左)(撮影:村山玄子)
今から50年前に絵本作家のやべみつのりさんが描いた子育て絵日記を、芸人で漫画家の矢部太郎さんが1冊の本にしました。完成した『光子ノート』を前に語り合う父と息子の会話から、少し風変わりな矢部家の様子が見えてきて――(構成:山田真理 撮影:村山玄子)

前編よりつづく

子どもの前に立たず後ろに立って見る

太郎 実はノートは、お母さんが先に書き始めたものだったでしょう。そこへお父さんが挿絵みたいなのを描き込んで、その割合が増えていって、いつの間にか占領していたという……。それに、最初は日記という体裁でもなかった。

みつのり 光子が1歳になる時に、手作りの絵本をプレゼントしてあげたいと思って、最初は創作メモのつもりだったから。

太郎 それがだんだん、光子ちゃんがその日どうだった、何をしたというふうに変わっていく。

みつのり 僕は男ばかりのきょうだいだったから、女の子の成長というのを初めて間近に見たわけ。それに、子どもを育てるってどういうことか知識もない状態でのスタートだったから、毎日が発見の連続だった。

太郎 その発見を、お父さんが純粋に面白がっている様子がノートからも伝わってきたよ。

みつのり どん底にいた僕は、光子と一緒に「生き直したい」というのかな、自分も0歳に戻った感覚で、光子の目で周りを見たり、体験したりしたいろんなことを描きたくなったんだね。つまり、僕は光子と同じところにいたかったし、生きていることの連続性を描きたかったの。