たしかに感じた愛犬の気配

たまが亡くなった翌朝は「亡くなったのは何かの間違いで、本当は生きているのではないか」と思いました。しかし、今にも起きそうなのに、いつものように迷惑そうに顔をしかめてもくれず、ため息も、散歩前の小躍りもせず、たまはやっぱり動きませんでした。

その日の夕方、たまは火葬されました。雨の中、高台から一筋の煙が空に上がって行くのを見ていると、突然雨が止んで空一面が茜色に染まり、大きな虹がかかったのです。そのあまりに美しい空にたまを思いました。

『あなたに愛されて幸せでした 後悔が愛に変わる天国の犬猫からの伝言』(著:たま愛子/飛鳥新社)

その夜、枕元にたまの気配を感じました。それは、宮崎駿(「崎」は正しくは「たつさき」)監督の『千と千尋の神隠し』に出てくる川の神様が、本来の姿に戻って喜ぶかのような、軽やかで歓喜に満ちたものでした。

まるで鼻と尾を軸に、床の上をくるくると、喜びを全身で表現するように回転していたのです。

「たまがいる!」

私は間違いなく、たまの存在を感じていました。なのに、このときはそれを「気のせいだ」と思ってしまったのです。