スマホを手に、困惑する高齢者たち
コロナが流行している頃、予防接種の予約は電話でもインターネットでもできた。
住宅地を歩いていたら、80代に見える女性がスマホを持って家から飛び出して来た。そして、向かいの家のインターフォンを押し、「電話の予約がつながらなくて、スマホで予防接種の予約を取ろうとしたら、わかんなくなっちゃった。息子さんいる?」と聞いていた。20歳くらいの男性が現れ、玄関の外でスマホを受け取り、女性に見せて説明しながら予約を取っていた。眺めているのも悪いので、私はその場を去った。
今年2月に、私はスマホで予約を取り、税務署の確定申告書作成特設会場に行った。
入口で、職員に「パソコンの台数を今年から少なくしたので2時間待ちです。スマホでの確定申告書作成を手伝いますよ」と言われた。しかし、私のスマホではできず、パソコンでの申告書作成を待つ人たちの椅子に坐った。そこには、65歳以上と見える人たちが10人いた。待ち時間が長いので、知らない人同士が会話をしていた。
その中のひとりの男性が立ち上がり、壁に貼ってあるスマホで簡単に確定申告ができるというポスターを指差して言った。「俺たちは取り残されていないか?!」と。坐っている人たちは「そうだ」、「その通りよ」と賛同していた。
私は帰りに、税務署の職員に聞いた。「2年前に買ったスマホなのに、確定申告書が作成できないのは変ではありませんか?」と。すると職員は自分のスマホで調べ、「その機種の次のからできるようですよ」と教えてくれた。私は知らなかったのだが、ネットには確定申告書作成ができるスマホがズラズラと表示されていたのである。
