友近さん直筆の言葉「問題即解決」

「頑固だ」と言われて

ただ、早々に「答え合わせ」ができたのはいいことばかりではありません。自分が興味を惹かれるものしか取り入れようとしなかったし、良かれと思ってしてくださるアドバイスを、素直に聞く耳を持てない時期もありましたから。

ネタ番組で、わかりやすいネタに変更してほしいと求められても、「自分のお客さん」にがっかりされたくなくて、譲れないことも多々ありました。そのせいで「頑固だ」とか「ストイックすぎ」、「テレビに出たくないんじゃないか」と言われてしまう。いやいや、すごく出たいんです、でも……という。これにはもう、デビューして十数年、苦しみ続けました。

もう少し柔軟性を持っていたら違ったのかなぁ、と考えることもあります。でも、デビューして20年経った今、最初に掲げた目標の通り、たくさんのお客さんが、決して安くはないチケット代を払って私のライブを見に来てくださっている。そんな現状を思えば、そんなに間違ってなかったかなぁとも思うんです。

最初は自分の単独ライブなのにウケないこともありました。テレビで興味を持って見に来てくれても、よくわからないことをやってるからか、離れていくんですよ。それでも自分のやりたいことだけを続けるうちにお客さんが入れ替わって、10年ほど前からは、私と同じ感覚を持ったお客さんばかりになりました。もう、どんなに狭い笑いでも、ちゃんと狙ったところで笑ってくれるんです。

水谷千重子というキャラクターが生まれたのも、ちょうどそんなお客さんが定着し始めた頃。演歌歌手の方がものすごいビブラートをきかせながらポップスを歌っているのを見て、これを盛り込んで歌い、それっぽいトークを考えたらいい感じのキャラができるかもしれない、と思って作ったキャラでした。

すると、最初からお客さんの反応がものすごくよかったんです。みんな、まるで昔から水谷千重子を知っているように反応してくれて、「このキャラ、愛されるな。コンサートもやれそう」と感じました。その後、いろんなテレビ番組でやるようになって、今は明治座という舞台に立てるのが夢のようです。

新型コロナウイルスの影響で、私のライブもやむなく延期や中止が相次ぎました。それは本当につらかったけれど、今はまた新しいライブツアーの構想を考えているんです。それは4年前からネタ番組などでハリセンボンの春菜ちゃんとコラボしてやっている「徳川徳男、徳子」という負けず嫌いで相手の上を行きたがる男女のネタ。

自粛中、インスタグラムのライブでもたくさんの人が喜んでくれましたので、全国のご当地ネタを盛り込んで「その発祥は俺だよ」「私だよ」といいながら、ツアーで回りたいですね。

恋愛とか結婚ですか? こんな調子なので、今は興味がないんです。昔はすぐ人を好きになってたけど……日々、戦ってるうちにエネルギーがそっちに流れなくなったのかも(笑)。今は、やりたいことをやり続けるために、どういう形にし、どうプロジェクトを成功させていくか、日々模索中です。

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