こうした1年間の養成所の授業料は、2005年当時40万円(税込)です。この金額を高いと感じる生徒もいたようですが、私はこの金額を授業全体のコマ数で割ってみました。

すると授業1コマ当たり、たった2〜300円だったのです。こんな現場主義の、真に実践的な授業をこの値段で受けられるなんて、本当に感謝しかありません。

若いということは、素晴らしいです。ただ、ついこの間まで学生だった状態からは、こうした「環境」を、1コマ当たりたった2〜300円という金額で自分が手に入れられている奇跡に、気付ける人はそう多くないと思います。なぜならまだまだ経験が少ないからです。

人から何かを学べることのありがたさ。しかも多くの仲間たちと一緒に、です。そこにはライバルが多勢いるため、嫌というほどお互いが刺激し合い、触発され、お尻を叩かれ、そして己の尻に火がつくのです。こうした環境は心底ありがたいことでした。なぜなら、1人ではなかなか尻に火はつかないからです。

《偉人》と呼ばれる世界の名だたる作家や画家たちは、決して一人部屋に閉じこもり作品とだけ対峙していたのではなく、意図的に多くの時間を仲間たちと交わり、切磋琢磨して名作を生み出していた、という説があるそうです。

私は今でも、「あのとき決意して吉本の養成所に入って本当に良かった。私の20年という孤独で暗闇ばかりだった人生を、あのエネルギー溢あふれる若者や先生達と共に戦った怒涛の1年が、まさに私の人生を拓いてくれた」と心から感謝しています。

人は《環境》で変わります。《環境》を変えるには勇気が要ります。しかし勇気を出してその環境を選んで飛び込んでみると、そこからまた思わぬ新たな人生の幕が開いて行くのです。