『大ピンチずかん』では子どもたちの直面するピンチがユーモアたっぷりに描かれている((c)鈴木のりたけ/小学館)(撮影:本社・武田裕介)

この絵本が完成した時、最初に面白がってくれたのは、やはり子ども世代。でもヒットを受けてテレビ番組で紹介された時、スタジオの大人たちが「自分にもこんなピンチがあった」と盛り上がってくれたのを見て、これはもっと読者が広がるなと確信を持ちました。(笑)

「ピンチ」って、直訳すると危機とか苦境とか深刻な意味もあるんですよね。でも発音自体にちょっととぼけた感じがあるし、「わぁ、ピンチだ!」って口に出すことで事態を俯瞰できるような気がします。

もう一つ、ピンチは「なんとかしなきゃ」って現在進行形のイメージがあると思うんです。近い言葉に「失敗」があるけれど、こちらは「こうなってしまった」という結果であり過去形。失敗しないようにあれはやらない、これは止める、選択をしないといったことを繰り返すと、なんだか面白くないでしょう。

特に子育てでは失敗を「してはいけないこと」と考えがちだけど、子どもの成長には失敗がものすごく大事。その段差から飛び降りたら痛いだろうな、そのまま注ぐと牛乳をこぼすよなとわかっていても、やらせることで、子どもはピンチを経験し、成長する。

僕もよほど危険がある時は注意しますが、成長の機会を周りの大人があまり奪ってはいけないと思うのです。