阿川さんと私の自由度、変わらなかった

阿川 ありがとうございます。私はずいぶん前に会った時以来、ずっと同じ印象を持っていますけど。

伊藤 同じ印象って? 野生児とか、野性的でものを考えないとか?

阿川 いや、いろいろ考えてはいるだろうけれど、やっぱり自由だな、と。ザ・自由現代詩人という感じ。

伊藤 阿川さんの自由度、すごかったですよ。舌を巻いた。対談で、自由不自由、違いがくっきり出ると面白いなと思ったんだけど……。

阿川 アハハハ、確かにあまり対比が出なかった。基本的に私も、大雑把だから。いろいろなことを、キチンキチンとできない。

伊藤 ただ、私たちは生活環境がまったく違う。阿川さんはお父さんが有名な作家で、厳しく育てられたけど、私はどぶ板の裏から生まれてきたような育ちだから。親自身の希望もあったけれど、親の骨は海に撒いときゃいいと思っていて、実際そうしたし。

阿川 うちの父も「オレが死んだら通夜も葬式もするな。戒名もつけるな」と日頃から言ってました。そのへんの「親の死事情」も、いろいろお話しましたよね。そういえば対談をしている期間中に、伊藤さんの親友だった枝元なほみさんが亡くなって……。70代になると、自然と別れも増えますね。

伊藤 夫も親も親友もいなくなった。子どもたちは育って巣立っていったし。家族は犬猫と植物ですよ。