光秀に「お前じゃない」と
<信長が滞在していた本能寺を光秀の軍勢が取り囲んだ。敵襲に気づいた信長は、銃を放ち、槍で応戦。森乱(市川團子)に逃げるよう言われた信長は、襲い掛かる敵兵を倒しながら退路を求める。傷を負い意識が朦朧とする信長の目の前に現れたのは光秀(要潤)。「お覚悟を」と切りかかってくると「お前じゃない」と切り捨てた。それは幻で、光秀ではなく足軽だった>
「本能寺の変」で光秀が信長を倒しに来たときに、「お前じゃない」というセリフを言わせてもらいました。これは信長の思いを考えて、僕が加えさせてもらったもの。脚本にはなかったセリフです。
もし、信長の目の前に現れたのが秀吉(池松壮亮)で、「あなたが死んでくれないと次の世の中がきません」と言ってもらえたら信長にとっていちばんいい幕引きになった。なのに、気難しい光秀が来たから許せない。光秀の顔を見たときに、「お前じゃない」と心から思ったんです。
信長は、ものすごく大きな葛藤や迷いの中で生きていました。織田家がどんどん大きくなっていく中で、カリスマを演じるようになった。周囲に何度も裏切られてきた信長にとって、唯一「裏切らないだろう」と思えたのが秀吉。信長に欠けたものを持っていて、「こいつと兄弟になれたら、俺の人生も違っていたんじゃないか」と感じているのではと思いました。
「秀吉が殺しに来てくれたら喜んで死んだのに」と思えたことで、自分が演じてきた信長像に最初から最後まで1本筋が通ったような気がします。