「住まない買い手」の購入目的
では、「住まない買い手」はどのような目的で住宅を購入しているのでしょうか。
大きく分けると、(1)賃貸経営、(2)転売、(3)資産保有、(4)地政学リスク等を踏まえた資産退避、の四つに整理できます。もちろん、現実にはこれらの目的が一つだけで完結するとは限らず、複数の動機が重なり合っているケースも少なくありません。
また、実際に購入した住宅に住む場合であっても、近年では、都心部を中心に、居住と投資をあわせ持つかたちで住宅を購入するケースも増えています。いわば「半住半投」と呼ぶスタイルで、将来の値上がりを期待してマンションを購入し、まずは自ら居住しながら、価格上昇のタイミングを見て売却し、次の物件へ住み替えることで資産を形成していく手法です。このように「住む人」でも売却益を意識した動きも見られます。
賃貸経営、転売、資産保有、資産退避、半住半投といった住宅への投資行動を一概に否定することはできません。不動産を資産の保全や形成、あるいは節税の手段として活用することは、現行制度のもとで認められた、資本主義社会における正当な経済活動の一つだからです。海外に居住する富裕層が、資産の安全な退避先として日本の不動産を選ぶことも、個人の選択としては理解できます。
しかし、一つひとつの行動が悪いわけではなくても、それが積み重なり、住みたい人の手になかなか住宅が渡っていかない市場が形成されているとすれば深刻な問題です。
世界各国の大都市が直面してきた住宅問題は、もはや遠い国の話ではありません。日本もいよいよ、この問いに正面から向き合うべき時を迎えています。
