本当にヤバすぎる

「ぼくはここの会員だから、よく来ますけど。それより、あなた、ここで何してるんです? あと、コレ、ぼくのバイクなんだけど」

すると男は寄りかかっていたバイクからサッと手を離し、再び慌てて言いました。

『となりの筋トレ 小説家は見た!ジムの愉快な日々』(著:森沢明夫/飛鳥新社)

「白いバイクって、なかなかいいじゃないですか。ところで、あなたの家はここから近いんですか?」

「は? ぼくは、あなたがここで何してるのかって訊いてるんだけど」

「こっ、このクラブは、遅くまで開いてるんですかっ?」

「…………」

こいつ。本当にヤバすぎる。メガネの奥の目がクスリでもキメたみたいにバッキバキやん。しかも、口だけ笑ってて気持ち悪いやん!

さて、どうしたものかとぼくが閉口していると、なぜか男はいきなりこちらをビシッと指差しました。

「アナタね、夜のバイクは危ないんですから。くれぐれも事故には気をつけて下さいよっ!」

まるで警察官のような口調で言うので、ぼくはうっかり「はあ」と軽く会釈してしまいました。

すると男は「まったくもう……」などとブツブツ言いながら、足早に去って行ったのでした。

ひとり駐輪場に取り残されたぼくは、いや、ちょっと待てよ……と。ふと我に返り、胸裏で叫びました。

なんで俺が逆にたしなめられてるんじゃーっ!