1971年、アマチュア・アイドル文化のはじまり

のめりこむ若者ファンが批判される。ファンとのライブ・コミュニケーション、そしてオーディション文化の是非。グループや運営スタッフを「故郷」「親」として表現すること。ファンがアイドルの成長を批評し審査する視線。――すでに現代の「推し活」の源流が一通り出揃ったのが、1960年代後半~1970年代のアイドル文化だった。

そしてその原点にあるのは『スター誕生!』にみられる、茶の間で日常をいっしょにすごしてくれる同級生のようなアマチュアな少年少女が、プロを目指して駆け上がる物語を共有することだった。

(写真提供:Photo AC)

実はそこには、アメリカと対等の立場になることを目指していた高度経済成長期から移行していく、日本社会の在り方が深くかかわっている。

『スター誕生!』が放送開始した年、くしくもニクソン・ショックが起こりドル基軸通貨制が終わった。この1971年のブレトン・ウッズ体制終焉、1973年の変動相場制への移行、石油ショックを境に、経済の仕組みも変化していく。

国内でも1972年にはあさま山荘事件が起き、学生運動の時代が完全な終わりを迎える。代わりにやってきたのは、政治思想ではなく消費で自己を表現する消費社会だった(7)と言われる。

そう、ちょうど日本の消費社会化が本格的に始まった時代に、テレビで産声を上げたのが、アマチュア、つまり可愛い子どもたちをお茶の間で愛し、応援する、アイドルという文化だったのである。

(7)大塚英志『「彼女たち」の連合赤軍 サブカルチャーと戦後民主主義』文藝春秋、1996年