「私のために利用して」と伝え方を変えてみる

ひとくちに介護サービスと言ってもさまざまな種類がありますが、親御さんが拒む代表的なものは、日中を施設で過ごすデイサービスや寝泊まりするショートステイだと思われます。

お世話をしている相談者さんからすれば、少しでも介護から離れられる時間がほしい……。そのお気持ちはよく理解できます。

拒否する理由は、人それぞれです。たとえば、認知機能や体力が衰えてきた方にとって、初めての場所に出かけることや、知らない人たちと接することは、非常にハードルが高いものだと思ってください。

慣れない場所や初対面の人の前で恥をかきたくないと、不安や緊張感に襲われ、思わず拒んでしまうのは当然のこと。そんな気持ちを理解してあげましょう。

親御さんを説得する際、かかりつけ医から勧めてもらうのもひとつの手です。何科の先生でも構いませんので、「一日中家でじっとしていると、足腰が弱って歩けなくなるかもしれません」「家族以外の人と接していないと、言葉を忘れてしまいますよ」など、行かないデメリットを伝えてもらいましょう。

子どもの言うことは聞かずとも、医師の言葉にはすんなり従う方が多くいらっしゃいます。私の外来を訪れる患者さんにも、「最後まで自分でトイレに行くために、リハビリだと思ってデイサービスに通いましょう」と伝えると、納得してくださる方が少なくありません。

それでもダメなら、お願いの仕方を変えてみます。「私のために行ってほしい」と、困っていることを正直に伝えてみましょう。

そもそも、親は子どもに自分の生き方を指図されたくないと思う一方で、わが子の不幸は望んでいません。たとえば「私も疲れたの。このままでは共倒れになってしまう」と、「子どもの切実な思い」を訴えてください。そうすれば親も子どもを助けてあげたいと思うのではないでしょうか。

納得していただけたなら、まずは「試しに週1回だけ行ってみて」とハードルを低く設定し、慣れたら通う回数を増やしていくのがいいでしょう。デイサービスにはそれぞれ特徴があるので何ヵ所か見学し、親御さんの好みに合った施設を選ぶことが、長続きのコツです。