がん細胞も年を取っている

高野 僕の患者さんの中には、病院に来て受診はするけれど、雑談だけして帰っていく人がいます。積極的な治療は何もしていなくて、ときどき検査をすることがあるくらいです。近藤誠さんが言っていた「がん放置療法」みたいな感じではありますが、近藤さんの主張とは違って、病院には来てもらうようにしています。がんは放置したとしても、がん患者さんを放置することはありません。雑談もけっこう大事なんです。

養老 そうですね。時々は病院に行って、それで、「薬が多すぎますよ」みたいな話もしてね。「もう少し間隔を延ばしましょう」っていうふうに。

高野利実
(撮影:大河内 禎/写真提供:ビジネス社)

高野 先生が今、「もう病院行くのやめる」とおっしゃったら、ご家族はやはり心配されるでしょうね。

養老 そうですね。でも、病院に行かなくても来年までは大丈夫だろうとか、そのぐらいのことは想像がつきます。がん細胞も90歳で年を取っていますからね(笑)、そんなに急速には進行しないですよ。