時々お喋りに行く
高野 一般に小細胞肺がんは進行が速いケースが多いですが、先生の場合は、薬も効いているようですし、想像されている通りなのかもしれません。
主治医の中川恵一先生は、診察の際にどのような――。
養老 いや、時々お喋りに行くだけですよ。基本的には、東大病院の呼吸器内科にかかっているんです。だけど、呼吸器の症状は何もないから、ついでに中川先生のところへ会いに行く。
高野 それはよいですね。今後、症状が出たり、不安になったりすることがあれば、そのときは、医療に頼るのがよいと思います。
養老 そうですね。人間はわがままだから。苦しいのは嫌だからね。
※本稿は、『“幸せ”よりも “居心地”のよい生き方』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。
がんになった養老先生と医師になった東大の教え子が30年ぶりに再会──。
東大時代の思い出、自然と人間、がんとの向き合い方、理想の医療、そして明治以来の日本人が抱えるストレスまで、縦横無尽に語り尽くす。
出典=『“幸せ”よりも “居心地”のよい生き方』(著:養老孟司、高野利実/ビジネス社)
養老孟司
東京大学名誉教授・医学博士
1937年神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。81年より東京大学医学部教授、95年退官。東京大学名誉教授。『バカの壁』(新潮新書)、『唯脳論』『ものがわかるということ』『まるありがとう』『なるようになる。』『わからないので面白い』など著書多数
高野利実
がん研有明病院乳腺内科部長
1972年、東京生まれ。1998年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、2002年より国立がんセンター中央病院内科で研修後、2005年、東京共済病院腫瘍内科を開設、2008年、帝京大学医学部附属病院腫瘍内科講師、2010年、虎の門病院臨床腫瘍科部長と、3つの病院で「腫瘍内科」を立ち上げた。2020年、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、がん診療、臨床研究、患者支援、腫瘍内科医育成に力を入れている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務める。著書に、『気持ちがラクになる がんとの向き合い方』『がんの不安やつらさは、どうすればラクになりますか?』(以上、ビジネス社)、『がんとともに、自分らしく生きる』(きずな出版)。読売新聞「ヨミドクター」で、コラム「Dr.高野の『腫瘍内科医になんでも聞いてみよう』」連載中。