イタリア人のイメージ

イタリア人のイメージは、基本的に寛大で、初対面の人でも信頼を示してくれる、友好的な人種と思われているところがあるように思う。しかし、私の見解では、彼らほど他人に懐疑的な人種もそれほどいない。

表向きはフレンドリーだが、彼らの心の扉が完全に開くのは、親族同士であっても難しい。そういった面では、むしろ北欧のような国の人たちのほうが、オープンだという印象がある。社会よりも親族、親族よりも家族、と信頼の優先順位がごく狭い範囲に絞られている傾向があるように思うが、そんな中でも自分に対して常に無償の愛情を惜しみなく与えてくれる母親は、この世においてたった一人、自分を裏切ることのない唯一の人、というポジションを確立する。

『新版-地球生まれで旅育ち-ヤマザキマリ流人生論』(著:ヤマザキマリ/中央公論新社)

最近は変化しているのかもしれないが、少なくとも日本では母も子も互いに抱く愛着を、成長してからも露見するのは恥ずべきこととされる傾向がある。日本に限ったことではないが、親子関係の依存は社会性の欠落と結びつけられがちだ。

イタリアは日本ほど世間体というものが説得力を持っていない。だからこそ尚更、私たちには母親への愛情を包み隠さず大胆に表しているイタリア人が尋常じゃないほどの母親好きに見えてしまうのだろう。