有名人も一般の人間

ちなみにイタリアでは有名人が禁断の恋愛関係を築けば、日本と同じく女性が読むようなゴシップ週刊誌やネットでは取り沙汰されるが、テレビなどの電波を使ってまで、そういった恋愛情事がわざわざ論議されるようなことはほとんどない。

女性関係が凄まじく、未成年の女性と関係を持ってしまったために法まで変えようとした元首相のベルルスコーニほどのレベルになれば別だが、著名人のちょっとした不倫など、取るに足らない実にどうでもよい問題なのである。

宗教の拘束がないヤオヨロズの神の宿る日本では、スターは神聖化して、イメージを崩すことを許されない存在となるが、絶対的神が存在する宗教観が定着しているイタリアのような国では、有名人も自分たちと同じく一般の人間という理解に過ぎない。だから彼らの禁断の関係が発覚したところで絶望も失望もしないのである。自分たちの身にも起こりかねないことだと思うと、いちいち騒いでいる場合ではないのだ。

人間など所詮、倫理や法にしばられなければなんでもありだというのは、イタリア半島で築かれた長きにわたる激動の歴史の中で生きている人たちにとっては、わかりきったことなのである。

※本稿は、『新版-地球生まれで旅育ち-ヤマザキマリ流人生論』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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