「人を見たら詐欺と思え」の時代に…
おまじないというのは昔からあるし、それを信じるのは個人の自由だ。おまじないで効果を得たと思うのも自由だ。私もおまじないはけっこう好きなのである。
しかし、私は美輪さんを悪用したフェイク動画を信じたことに落ち込んだ。これは自分が老いて心身ともに弱くなり、自信がなくなり、物事もうまくいかなくなり、だから騙されたのだと考えた。
年齢が上がるほど騙される予感がして、惨めな気持ちになった。
それを40代の知り合いの男性に愚痴ったら、「騙そうとする人は、相手の年齢に関係なく騙しますよ。僕は店をやっているので電話に出ないわけにいきませんが、最近は夜に、『警察ですが、あなたが犯罪に関与していることが判明しました。ほかの人に聞かれるとまずいですよね。人のいないところで会いましょう』と言われました。僕は、『忙しくて行かれません』と言ったら、電話を切られましたが…」と、言われた。
その時、私は突然、大学を卒業した時に就職先が全くなく、父の知り合いの宝石の輸入販売会社で約1年間働いていた時のことを思い出した。
少人数でも大手の貿易会社と肩を並べようとする腕と度胸のある社長は、いつも宝石の買い付けに行く社員に言っていた。「人と宝石を見る目をもて。偽物を本物だと言ってお客様に売ったら、その時点で会社は終わりだからな」と。
それを、先ほどの男性に話したら、「その社長の言葉は名言だけれど、今は詐欺電話や嘘を語る訪問が日常化して、僕は判断をするのに心が疲れてきました」と言った。
私は子供の頃に「人を見たら泥棒と思え」という言葉を覚えたが、70代にして「人を見たら詐欺と思え」を覚えた。嘘を見抜く力を養わなければと、自分に気合いを入れた。
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