自己実現の方法

また、「マズローの欲求5段階説」で、「自己実現欲求」は、心理的欲求の中でも、「社会的欲求」「承認欲求」よりさらに上位にあります。この世代になったら、「社会的欲求」「承認欲求」を満たすだけでは、真に満たされることはなく、より高次の「自己実現欲求」を満たすことを目指すべきというわけです。

ユングの理論やマズローの欲求5段階説から端的に考えれば、「自己実現」の場や機会を得たり、「本来の自分」を取り戻したりすることで、今抱えている焦燥感や不安感、虚無感や孤独感も低減、あるいは解消できる可能性が見えてくるのではないでしょうか。「自己実現」や「本来の自分を取り戻す」方法には、多様な選択肢がありますが、ひとつには、シンプルではあるのですが、仕事以外の何かに打ち込める機会をもつことです。

自己実現とは、自分の可能性や能力を最大限に発揮し、自分の理想や価値観にそぐう自己像を具現化することですから、自己分析を行い、自分が本当にやりたいこと、大切にしたいこと、得意なことなどを知ることから始まります。

しかし、大げさに構える必要はありません。社会に出てからこれまで必死で駆け抜けてきた間に、「やりたかったけれどあきらめたり犠牲にしたり、いつの間にか置き去りにしてしまったこと・もの」は誰にでもあると思います。

そうしたこと・ものを思い出してみて、「今ならやれる」「今からでもやれる」こと・ものにあらためて向き合うのもいいかもしれません。

さらに、そういったこと・ものを思い出していく過程で、それまでは気づかなかった「今、自分が本当にやりたいこと」が見えてくることもあるでしょう。

また、子どもが巣立った後の夫婦関係の変化に対しても、同じようなことがいえます。子どもが生まれてからというもの、レジャーにしても何をやるにしても、子どもが喜びそうなものや場所を選んでいたと思います。しかし、結婚前、デートでよく行ったのはどんなところだったでしょうか。どんなことをしながら二人の時間を過ごしていたのでしょうか。まがりなりにも夫婦として結ばれたのは、互いに何か共鳴や共感し合えたものがあったからではないでしょうか。

子ども中心に家庭をつくっていた間に遠い記憶の中にひっそりと埋もれてしまった、かつては二人で共有していた「何か」がもしあるとしたら、子どもが巣立った今こそ呼び戻してみるよい機会かもしれません。

たとえば、結婚前のデートでよく行った場所に二人で出かけてみる、久しぶりに子どもの好みではなく自分世代の興味に合う映画を観に行くなど、これまでの「子どものいる家庭」をリセットして、「夫婦の原点回帰」を試みてもいいと思います。

また時には逆に、夫婦それぞれが「自分の時間」をもち、それを互いに尊重し合う。それも「大人同士の関係性」を構築するうえでは非常に大切です。

※本稿は、『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

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