厚生労働省が2025年に実施した「国民生活基礎調査」によると、65歳以上の者のいる世帯のうち、一人暮らし(単独世帯)の割合は全体の33.8%で最も多い形となっているそうです。そんな中、東北大学名誉教授であり脳神経科学を専門とされている虫明元先生は「今、日本のみならず世界中で『孤独』が大きな問題になっている」と警鐘を鳴らします。そこで今回は虫明先生の著書『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』より一部を抜粋し、「孤独感に振り回されず、健康で自分らしく生きるヒント」をお届けします。
「ぼっち」だけが孤独感の原因ではない
偏見や差別が生む孤独
孤独感が生まれる原因はさまざまですが、第一に挙げられるのは、「他者との関わりが失われてしまう状態」に置かれた場合でしょう。それにはまず、「社会的排斥」というケースが挙げられます。
社会的排斥とは、集団や個人から無視や拒絶、仲間外れにされる現象をいいます。
たとえば、特定の属性をもつ人々を社会から切り離し、不利益な扱いをする行為が含まれますが、その根底には、往々にして偏見や差別があります。
どんなに「法の下の平等」が保障され、多様性を尊重する社会がうたわれていても、現実ではいまだに偏見や差別がはびこっています。それは、良識ある人なら「偏見や差別はなくすべき」と頭ではわかっていても、どうしても、「**はこうあるべき」「**とはこういうもの」というステレオタイプが蔑視感情と結びついたり、ある属性に対して「周囲とは異なる」ものとしてマイナスのイメージやレッテルを貼ったりしがちだからです。
また、マジョリティが、理解できないマイノリティに対して不安感をもち、排斥して安心を得ようとする、社会心理学的な自己防衛も背景にあるといえるでしょう。
このような社会的排斥により孤立・孤独になってしまった場合、根本的な解決、つまり偏見・差別を解消するのは、本人だけの力では難しく、社会全体での意識改革や、差別や偏見をなくす啓蒙活動や教育に取り組む必要があります。