「自分らしくありたい」という核
たとえば、一人の人間としての尊厳を大切にして接する。そのときの感情、特に悲しみや不安に寄り添う、優しい言葉だけでなく安心感を与える態度で接するなど、いわゆる「パーソン・センタード・ケア(その人中心のケア)」が基本となります。
こういった認知症の人とのコミュニケーションについては、拙著『認知症ケアに活かすコミュニケーションの脳科学20講』(共著、協同医書出版社)にわかりやすく詳述しておりますので、興味のある方はご一読いただけると幸いです。
こうしてみると、加齢や病、喪失を経てもなお、「自分らしくありたい」という核は失われることはありません。それどころか、高齢期の先には、その核をむしろ穏やかに肯定できるようになる、心理学的な境地があるともいわれています。
なお、エリクソン自身が示した発達段階は8つですが、晩年、共同研究者であった妻ジョーン・エリクソンは、60代以上の中でも特に80代・90代という「超高齢期」を第9段階として付け加えました。
この時期は、身体の衰えや喪失をきっかけに、これまでの人生で経験してきた葛藤や心の危機が再び押し寄せてくる、つらい段階でもあります。ただ、それを乗り越えた先には、さまざまな執着を手放した「老年的超越(Gerotranscendence)」と呼ばれる境地が訪れるとされています。
とりわけ、人間関係における「老年的超越」、つまり、他者評価へのとらわれが薄れ、孤独をむしろ穏やかに受け入れられるようになる変化は、孤独対策を考えるうえでも示唆に富むものといえるでしょう。
※本稿は、『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
『孤独脳 脳のSOSに気づき心と体を壊さない30の方法』(著:虫明元/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
本書では、今日からできる30の「孤独感を解消するコツ」を紹介しています。
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孤独感に振り回されず、健康で自分らしく生きるヒントが、ここにある。




