発達の順番を逆さまにたどる

ところがアルツハイマー病は、この「一番最後に作り上げた高度な部分」から順番に傷んでいくんだ。だから、軽度のうちから自覚、空間の認識なんかが落ちてしまうわけ。

その代わり、「歩く・見る・聞く」といった、基本的な力は、比較的最後までちゃんと残るんだ。

まさに「発達の順番を逆さまにたどっている」ってことだね。ただし、記憶は最初から傷んでしまうけどね。

この理屈を知っておくことは、介護する側にとっても大切なんだよ。例えば、本人が薬の管理ができなくなったとしても、「まあ、小学生に薬の管理は難しいよね」って思えれば、イライラして責める気持ちも少しは軽くなるよね。

※本稿は、『認知症でも私のことは私が決める-日本の不自由とスウェーデンの自由』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

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『認知症でも私のことは私が決める-日本の不自由とスウェーデンの自由』(著:宮本礼子、長谷川佑子、山口晴保/中央公論新社)

日本では介護のために離職する人が年間10万人に上るが、スウェーデンでは家族に介護をする義務はない。

両国の違いはどこからくるのか。そして、認知症の人と家族の幸せとは……。

85~89歳の3人に1人、90歳以上の2人に1人が認知症になる時代に、認知症の医療と介護のあり方を考える。