五階の子供服フロアには、売り場の一角に福来屋のトレードマークであるデフォルメされた雀のイラストと「福来屋日本橋店開店110年記念イベント・時をかける雀~小さなお店の大きな約束~」というカラフルでポップなロゴが貼られたイベントカウンターが設置されていた。

 カウンターの隣には黒いパーテーションで作られた謎めいたイベントスペースがあり、カウンターで謎解きキットを受けとった人が次々と入っていく。イベントへの参加は無料で、一日の参加人数に上限があるようだ。

 吉晴はカウンターで応対している大きな白衿が特徴的な赤いワンピース姿の女性スタッフに、日下部から贈られた招待チケットを差し出した。女性スタッフは「いらっしゃいませ。ようこそ福来屋日本橋店へ」とどこか時代がかったお辞儀をし、白い手袋をひらめかせて謎解きに必要な冊子とクリップペンシルが一緒になったキットを吉晴と三島に手渡した。

「どうぞごゆっくり、時空を越える旅をお楽しみください」

 女性スタッフに見送られ、吉晴と三島はイベントスペースの中へ入った。黒い壁に囲まれた途端、心なしか周囲が暗くなったように感じる。

 一つ角を曲がると、正面の壁にピンスポットで照らされた雀の巣のイラストが見えた。すぐそばに説明書きが綴られている。