うつ病予防・改善のカギ!?  最新科学が注目する「食事」

毎日の食事が、体の健康だけでなく「心の健康」にも関係している――。いま、そんな研究が世界で進んでいます。

「豊かな香りと、心地よい食感。おいしい食事は、気分まで良くしてくれます」――キッチンで豆のスープと季節のサラダを味見しながら、笑顔でそう話してくれたのは、オーストラリア・メルボルン近郊に暮らすテレサさんです。穏やかな表情で料理を楽しむ姿からは想像できませんが、およそ5年前、コロナ禍のさなか、重度のうつ病を患いました。ベッドから起き上がることさえできず、仕事はもちろん、家事や身の回りのことをする気力もなくなっていったといいます。

 

食事の改善でうつ症状が改善したテレサさん

 

「抗うつ薬を飲み、カウンセリングも受けました。それでも、命を絶ちたいという気持ちはなくなりませんでした」――そう語るテレサさんの表情から、当時の苦しさが伝わってきます。

そして心が限界を迎えた時、転機が訪れます。医師から、うつ病に対する「生活習慣の改善」の効果を調べる臨床試験に参加しないか、という提案を受けたのです。薬だけではなく、食事や運動など、日々の暮らしからも病に向き合っていく――。テレサさんは、これまでとはまったく違う方法に望みを託すことにしました。

食事改善を続けると、テレサさんに大きな変化が現れました。わずか3ヵ月ほどで、うつ症状が大きく改善したのです。「いまの私のメンタルは、人生で最も健康な状態です」――テレサさんの明るい表情が、現在の充実した日々を物語っていました。

「うつ病なのに、なぜ食事?」――そう思う方もいるでしょう。これまで、うつ病は主に「心」や「脳」の病気として捉えられてきました。しかし最新の研究から、うつ病の背景には、脳だけでなく「体の問題」も深く関係していることが分かってきています。なかでも、世界中の研究者たちが注目しているのが、「体の炎症」です。肥満や糖尿病など、慢性的な炎症と関係する病気とうつ病との関連も、さまざまな研究から明らかになっています。テレサさんのうつ症状を改善させた「食事改善」にも、「体の炎症」の影響を抑える効果が示されており、うつ病を防ぐ方法として、世界的にも注目が集まっているのです。

「良い食事は、体の栄養になるだけでなく、心や精神も育んでくれるのです」――インタビューの最後にテレサさんが語ったこの言葉は、いま最新科学が明らかにしようとしている「心と体のつながり」を、端的に表しているように思え、強く印象に残りました。うつ病を防ぐ食事のヒミツは、番組をご覧ください。