魅力的なのは欠点のあるキャラクター
こういう色付けを細かく行ってきたのが、『踊る〜』のよさでもあります。真面目で頑張り屋で熱血漢なのに、面倒くさがりなところもあって、ヤバいと感じたときの逃げ足はけっこう速め(笑)。ちゃっかりしていて、その愛嬌ゆえになにかと許されてしまう――。
30年前のドラマ開始時、そんな青島の性格をより明確にしたくて、刑事課のデスクのセットがすでに組まれていたあとだったにもかかわらず、「ごめんなさい、青島のデスクの書類入れとか、全部なくしちゃってもらえますか。で、アルミの安いペコペコの灰皿に、吸い殻を剣山みたいに刺したの、それだけを置いてもらえませんか」と美術部のスタッフにお願いしました。
するとスタッフも徐々にノッてくれて。青島のデスクには軍隊もののビデオやポスターが散乱していて、引き出しをあけると銃の専門誌が入っていたりしたと思うんですが、あれは青島がミリタリーマニアだから。
あと、深津絵里さん演じる同僚のすみれさんが、いつも職場になにかしらカップ麺を常備しているとか……。
ノリにノッてつくりあげられていく世界観を、僕たちは「美術部の暴走」と誉め言葉で呼んだものです。そんなところも視聴者の方に長く愛してもらえるシリーズになった所以じゃないかなと思います。
当時の僕は、出演した作品がヒットすると、それに近い役柄のオファーばかり続くことに窮屈さを感じていました。たとえば、ブレイクのきっかけになった『東京ラブストーリー』のあとは、カンチみたいな「いい人」の役がたくさん来るんです。
でも、みんなが「いい人」だと思うような人間を演じるって、ストライクゾーンが狭い芝居を要求されているようで息苦しくなってしまったんですよね。だいたい、こんなヤツいるのかよ、なんか裏で企んでんだろ、と思ったり。(笑)