自分だけで背負わずに、他者の手も借りて

ここで少し、ご相談内容から離れるかもしれませんが、実のところ私は相談者さんの置かれている状況が心配です。

お悩みは、夜のトイレ介助だけでしょうか? お手紙の文面は冷静で、介護による「疲れ」や「怒り」はうかがえません。でも本当は、「介護に追われる毎日がいつまで続くのだろう?」と心が疲れているのではないでしょうか。

というのも、若い頃の私も相談者さんとまったく同じ立場に置かれていたからです。両親と暮らしていた愛知県から東京の大学に進学したいと言ったとき、両親から出された条件が「東京に住んでいる祖父母の家に同居して、脳梗塞で寝たきりの祖父を介護しながら大学に通うこと」でした。

当時、父は現役の会社員で、9歳年下の弟は小学生でしたので、母は家を離れるわけにはいかなかった。そこで私は《お手伝い》の延長のように考え、その条件を受け入れて上京しました。ところが介護の現実は、私が想像していたような甘いものではありませんでした。

夜中でも、祖父から何度も呼ばれ、オムツ交換はもちろんのこと、「水をくれ」「背中をかいてくれ」と頼まれ、感謝の言葉もない。相談者さんと同様に毎晩寝不足で、講義中に居眠りすることもしょっちゅう。

介護で心身がすり減る学生生活は祖父が亡くなるまで約3年間続き、「なぜ私だけが?」という思いで、心が壊れそうになりました。

私自身がそんな経験をしたからこそ、「自分ひとりで介護を背負わないでほしい」と、声を大にしてお伝えしたいのです。

相談者さんは、おばあさまの介護を週に何日かでも、ご家族の誰かと代わってもらうことはできないでしょうか? もし要介護認定を受けているのでしたら、介護サービスを利用して月に数日でもいいので、ショートステイで施設宿泊を検討してはいかがでしょう。

介護保険適用外の可能性もありますが、夜間のヘルパーさんを頼んでみるのもいいですね。自分以外の人の手に委ねてぐっすり眠れる日を定期的に確保し、「また頑張ろう」という気力を保つのも、介護に必要な工夫でしょう。

介護をしていて「疲れ」や「怒り」を感じるのは、心に限界が来ているサインです。まずは相談者さんがゆっくり休める時間を確保してください。

介護はいつまで続くかわかりません。共倒れになってしまわないためにも、ご自分の心身の健康を保つのが何よりも大切だということを、ぜひ心に留めておいていただきたいと思います。

 


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