今年に入ると血液検査の数値が急に悪くなり、医師からは「普通に歩いても、マラソンをしているくらい苦しいはずです」と言われました。それでも施設内の自室から食堂まで、自力で歩いていたんですよ。
3月、車椅子を押して近くの公園に連れていったら、桜を見ながら少し歩き、うれしそうにしていました。この様子だと、102歳の誕生日まで生きてくれそうだと思っていたのですが……。
聞くと、亡くなる前日もホットケーキをペロッと食べていたといいますから、まさに大往生だったと思います。
父が亡くなった日の午後、ケアマネジャーや施設の介護スタッフの方々が何人も部屋にみえて、「最後のお別れをさせてください」と。なかには「ハグしていいですか?」とおっしゃる方もいてびっくりしました。
「私たち、岡野さんといろいろなお話をさせていただき、すごく癒やされたんです」と聞いて、親父、そんな優しい人になっていたのか、と……。息子にしてみれば、けっこう怖い親父でしたから。
同時に、女性に人気があるのは相変わらずだな、とも思いました。生前、けっこうモテていたし、女性ファンからの手紙がよく届いていたんです。「万葉集の歌はほとんど恋歌だから、恋をしないと歌はかけないんだ」なんて言ってたこともありました。
あれは確か2019年、糸井重里さんの「ほぼ日」が主宰する「ほぼ日の學校」の講師として呼ばれた際、僕も付き添ったのですが、満席でしかも来場者の8割方が女性。講義を聞きながら涙を浮かべている方もいたので、本当にびっくりし、内心「女性に人気でずるいなぁ〜」なんて、ちょっと羨ましく思ったものです。(笑)