湯ヶ島で聞いた報らせ

でも、芥川さんは、一体どうして自殺したんでしょう。わたしはその報らせを湯ヶ島で聞いたように思うわ。そう、昭和2年ですか……。尾崎士郎さんと一緒の頃……。

今東光から聞いた、葱の話を小説の材料にしたくらいだから……もしかしたら材料に困っていたんでしょうか。

小説家が自殺したいような気持になるのは……やっぱり作品に行き詰まったときでしょうねぇ……。わたしは、一度も自殺をしたいと思ったことはないわ。心中も、小説には書いても、憧れたことはない。

※本稿は、『宇野千代 ちょっと自伝』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

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『宇野千代 ちょっと自伝』(著:宇野千代、文:三宅菊子/マガジンハウス)

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