父母との関係描き切った
珠と継母のリョウの関係を描いたエピソードも、脚本の精度が高かった。珠とリョウに血縁はない。珠の実母は早くに亡くなり、その後、清治とリョウが再婚した。ここでもカギとなったのはカナリアである。
リョウが誤ってカナリアを逃がしてしまった。激高した清治はリョウに向かって「どうするつもりじゃ!」と怒鳴り、鳥かごを投げつける。リョウはたまらず、珠の3人の異母弟妹を連れ、実家に逃げ帰った。1人残された珠に向かって、清治は冷たく言い放つ。
「珠さま、珠さま言うちょっても、いざとなったら、この有様じゃ」
リョウは先妻の子供である珠を「珠さま」と呼び、大切にしていた。しかし、それは上辺だけのことだと清治は言ったのである。
珠は「カナリアを探してきます!」と声を上げ、網を持って家を飛び出す。それは清治のためだけではない。カナリアを捕まえることによって、リョウを家に戻したかったのだ。
しかし、カナリアは見つからなかった。珠はリョウの実家へ行き、外から叫ぶ。
「なんで出て行った!」
だが、リョウはいつまで経っても実家から出てこない。両親に止められていたからだ。
あきらめた珠は肩を落とし、家に帰り始める。リョウはたまらず家を飛び出し、珠を抱きしめる。「ごめんね」と詫びた。
リョウを連れて帰宅した珠は、不機嫌そうな清治に向かって、「カナリアなんて、どうでもええ。うちは、おかかのほうが大事じゃ!」と叫ぶ。珠の反抗に清治は戸惑ったが、怒鳴り返さず、「好きにせい」と、ふて腐れたように言った。リョウと3人の子供が出て行ってしまい、より孤独になるのは嫌だったのだろう。珠と父母の関係は序盤で描き切った。
第2週になり、現在の珠は16歳。良妻賢母の育成を目指す山口第二高等女学校に通っている。友人たちと同人誌を立ち上げ、青春を謳歌する。一方、清治の放埒ぶりは収まらない。清重からの仕送りを止められる期限が迫ると、荒れた。珠も同人誌づくりをめぐって、校長から厳しい叱責を受ける。
珠が伸び伸びと生きられるようになるのは、まだ先のことだ。
