おなじぬいでも、おなじじゃない

そうなんです。
まだ何もよく判らなかった小学生時代。ひたすら、自分のエッセルさんが欲しくって、親に交渉してわにぬいを買って貰っていた時代。これを過ぎて、中学生になると。
さすがに私も気がつきます。


だって、エッセルさんって、エッセルさんだから、エッセルさん、なんだよね。まったく同じぬいさんがうちに来てくれたとしても……それは、エッセルさんじゃ、ない。まったく同じぬいであっても、それは、絶対、エッセルさんじゃない。
こんな当たり前の事実に、その頃、やっと、私は気がついたんです。
どんだけ私がエッセルさんを欲しくても。
親が無事に、エッセルさんの製造会社を突き止めて、おなじぬいを買ってくれたとしても。
それでも、それは、エッセルさんじゃ、ない。
こんな、すさまじく当たり前のことを……すっごく時間がたって……やっと私は、判ったらしい……です。

ほんっと、私って莫迦だったと思うのですが。
私がそれに気がついた時、すでにうちの〝わにぬい〞は結構な数になっていて……。

そのせいで。
やがて。
とても変なことが起こってしまいました。