目指したのは、煩悩の数
「一匹目、エッセルさん」
って、これは妹のぬいなんですが。私がもう、ほんとにエッセルさん、好きで好きでしょうがないのを知っている妹、なんか、エッセルさんのことをまるで私のぬいのように扱ってくれていて……。(私が結婚して実家を出る時。エッセルさんを抱えて新居にゆくの、妹は快く許してくれました。いい妹です。)
「二匹目、エッフィルさん」
この子がエッセルさんの次にうちに来てくれた子で。
「三匹目、エッフェルさん」
私が、模試でいい成績をとって買って貰ったぬいです。
「四匹目、エッシュルさん」
……以下、そんな感じで……。
私は、順番にわにぬいを並べていって……。
すっごく長いわにの行列になったんですが……でも、やがて。
百一匹、並んでしまいました……って……おい、何なんだこれ、でも……並んでしまいましたがなあっ!(その上、この当時で百四匹までいた。)
すると、エッセルさんが。
「これはもう……わにとしては、煩悩の数までいっちゃっていい?」
いや、百八を目指すのか?それはもう、やめて欲しいとしか言いようがない。でも、多分いけるな、そのくらい。
その後もわには増えて、最終的に、いってしまいました、うちのわにズ。
目指した、煩悩の数に。
そして、気がつくと、煩悩の数、とっくに超える、そんな数に。
これが、〝名付けの弊害〞です。(……いや。違うか? 違うんだけれど、適当に名前をつけてしまうと、こんな弊害があるっていう話です。そもそも〝ぬい〞が数字にそっていろんなことを思うのが〝変〞なんですが、これ、〝何が違う〞のか、突き詰めるととんでもない結論になりそうなので、これは、突き詰めないことにします。)
うん。
いもししは、いい。しし次郎もしし三津子もいい。
けど、〝しし十二〞だの、〝しし十三〞だの、〝しし十四〞だのって名前は……、こんな名前があるっていうのは……〝わに〞の数が、やたらと増えてしまった……その、弊害、だよね。どう考えてもこれ、〝百一匹わにちゃん〞を前提にしているよね。(そして勿論、猪達は、〝しし十六〞を達成しました。猪年だったからね。)
