2020年から東京ヤクルトスワローズの監督を務め、21、22年にセ・リーグ連覇。21年には日本一に輝いた高津臣吾さん(「高」は正しくは「はしごだか」)。輝かしい活躍の裏には、どんな思いが隠されていたのでしょうか。高津さんは「ユニフォームを脱いだ今だからこそ話せることがある」と語ります。今回は高津さんの著書『愛と哀しみのスワローズ』より一部を抜粋し、今季で現役引退した石川雅規投手への思いをご紹介します。
石川雅規――常識を覆してきた男
山田哲人と並んで、「人間的に尊敬できる人物」として名前を挙げたのがマサこと、石川雅規だ。02年のプロ入り以来、彼とともに野球ができたことを誇りに思っている。
彼のピッチングを初めて見たのは、まだ彼が青山学院大学時代、00年のシドニー五輪だった。テレビを見ていて、「こいつ、すごいな」と思っていた。
ただ、最初は「なんでこの体格で抑えられるんだ?」という疑問ばかりだった。見ての通り、野球選手としては決して恵まれた体格ではない。そんなハンディを背負ってのスタートだったけれど、彼はそのハンディをすべて実力で黙らせてきた。いや、そもそもハンディとすら思っていないのかもしれない。彼は世間の常識を覆してきた男なのだ。
新人の頃は、登板日になるとマサはいつも試合前にえずくほど緊張していた姿が印象に残っている。そんな姿を見ていて、「大丈夫かな?」と心配したこともあったけど、少々のことではへこたれない前向きな姿勢と、研究熱心な頭脳があった。