拘束、水責め、精神攻撃…容赦のない「強化尋問」
2001年の9.11同時多発テロ以降、CIAはテロ容疑者への厳しい取り調べを進めた。その際、あえて「拷問」という言葉を避け、「強化尋問手段」という官僚的な表現を使うことで、拷問を正当化しつづけた。
実際に行なわれた手法には、水責め(ウォーターボーディング)、長時間の睡眠剥奪、狭い箱への拘束などが含まれる。また、イスラム教徒の受刑者に対し、宗教的嫌悪感や羞恥心を利用した心理的圧迫も行なわれた。
さらに有名なのが、「音響尋問」だ。大音量の音楽を何時間、ときには何日も流しつづけ、精神的疲労を蓄積させる手法である。収容施設では、ムスリムが嫌悪すると考えられたヘヴィメタルやディスコ音楽に加え、子ども向け番組『セサミストリート』のテーマ曲まで使用されたという。中でも頻繁に名前が挙がるのが、メタリカの代表曲『エンター・サンドマン』だが、当然本人の許可など得ていない。
音楽を使った心理戦は、以前から存在した。1989年のパナマ侵攻では、アメリカ軍がバチカン大使館に立てこもったノリエガ将軍に対し、ボン・ジョヴィなどのロック音楽を昼夜を問わず流しつづけるという前代未聞の作戦を実施している。
ちなみに「元スパイ」として知られるロシアのプーチン大統領も、犬嫌いで有名なドイツのメルケル首相との会談にあえて大型犬を同席させたことがある。相手の心理的弱点を突くという発想は、インテリジェンスの世界では常識なのだ。
