「日本版CIA」を支配するのは誰だ?
2025年には、元国家安全保障局長や元防衛事務次官、元外交官らによる有識者グループが、インテリジェンス機能の強化に関する提言を公表した。
その柱となったのが、合同情報会議を発展させ、イギリスのJIC(合同情報委員会)のような強力な分析・調整機関へ改編する構想である。
発想自体は極めて合理的である。実際、イギリスのJICやアメリカの国家情報長官(DNI)の仕組みも、縦割りを乗り越えるために生まれた。
その後、政府は国家情報会議と国家情報局を新設する法案を提出し、2026年5月に成立した。施行後は内調が国家情報局へ格上げされ、司令塔機能の強化が図られる。
ただし、提言者に警察庁出身者は含まれていなかった。もちろん、それだけで何かを断定することはできない。しかし、改革をめぐる議論が、単なる制度設計だけでなく、「誰が主導権を握るのか」という力学とも無縁ではないことをうかがわせる。
日本のインテリジェンス体制では長年、警察庁が国内治安や防諜で大きな人的・組織的基盤を担ってきた。一方で外務省は海外ネットワーク、防衛省は軍事情報という独自の強みを持つ。
そのため司令塔機能の強化をめぐる議論では、各組織の専門性だけでなく、影響力や発言権をめぐる思惑も見え隠れするのである。
※本稿は、『面白すぎて時間を忘れる「スパイ」の世界: 実在のスパイから世界の秘密工作まで』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
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