母はおせっかいだった。(中略)隣近所になにかあれば、やりかけた洗濯ものを放り出して飛んでいったが――なんとか片がつけば、それでおしまい。何があったのか、だからどうしたのか……誰にも決して言わなかった。

「障子の破れのない家はないからね」(中略)

女優になってからも、(中略)仲間同士の深いつきあいを避けた。(中略)その癖、下町女のおせっかい癖は治らず、ときどき身の上相談に来たスターが、「冷たいんだか、暖かいんだかわからない人……」と首をすくめた。(中略)

けれど、他人に自分と同じ生き方を押しつけるわけにはゆかないし、自分の暮らしを他の人にあわせるのもむずかしい。(中略)

ご縁があってつきあう人たちには一生懸命、やさしくすること。けれど、相手の暮らしに踏みこまないこと。自分と違う生き方を無理に理解しようとしないこと……。(中略)

人づきあいというのは、ほどほどに限るのではないだろうか……すこし、寂しくても……。

(『寄り添って老後』より)


 

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