介護をしなかったら後悔するわよ
居ても立ってもいられず、私が訪ねたのは山梨の西湖のほとりで素敵なカフェを経営していた大好きな先輩女性のところでした。
東京から山梨へ移住した人に相談すれば、何かが見えるかもしれないということもありました。人生の先輩として尊敬している人に、すべての事情を打ち明けたうえで、母の介護やこれからどうしたらいいのか、意見を仰ぎたいと考えたのです。
ぜひ、会いましょうと快諾してくださった先輩は、私の長い打ち明け話が終わると、
「お母様の介護をしなかったら絶対に後悔するわよ」
と。そこから、先輩が立て続けにご両親を見送ったばかりだということ、特にお父様に関しては、「さぁこれから介護をしよう、と思っていた矢先に急死してしまい、今もまだ苦しい」といった胸の裡を明かしてくださいました。
それは、相当な説得力を伴って私の心にズーンと響きました。
ただ、その先輩はご両親に愛されて育ったお嬢様だったので、我が家とは事情が違うと思ってしまい、結局のところ、迷いを断ち切ることができなかったのです。
相変わらず悶々としていましたが、その時に「そもそも山梨の家って住める状態なのかしら?」「とにかく見に行ってみることが先決じゃない?」と思い立ちます。
もしも暮らせないほど荒れていたら、山梨の家へ転居するという案は自ずと消える。つまり消去法でいこうと考えたのです。
そこで娘に事情を話し、山梨の家を見に行きたいから一緒に来て、と誘いました。
「ママがババちゃまの介護をすると決めたわけじゃないのよ」と言い訳しながら。
