頭にくることがあっても

今にして思えば、母の車いすを押しながらショッピングセンターの中をグルグル回っていた自分が可笑しくて、肌着のデザイン性にこだわっていた母があっぱれで。あれが母との最後のショッピングだったなあと感慨深いです。

でも、渦中だった当時はそんなことは考えもしなかった。母との買い物はもう懲り懲りだと思うばかりで……。

体と心は連動しているといいますけれど、疲れているとキレやすくなるというのは本当で、私自身に体力がないと母を受け止めきれません。だから頭にくることがあっても、さっさと寝てしまうに限るのです。

体が休まれば心も安らぎ、小鳥の大合唱で目覚める頃にはネガティブな感情は流れています。カーテンを大きく開けて、太陽の光を浴びたり、木々の緑の美しさに触れたり、さわやかな空気を吸い込んだりすれば大抵のことはリセットできるという発見もありました。

なにはともあれ、介護のために大自然に囲まれた山梨へ移り住んだのは正解だったらしい。そう思えたことだけが、救いと言えば救いでした。

※本稿は、『今だから笑える 笑えない介護の話』(小学館)の一部を再編集したものです。

前向きな介護のヒント
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『今だから笑える 笑えない介護の話』(著:岡田美里/小学館)

わがまま母とふたり、知識ゼロの介護スタート。

岡田美里が率直に綴る、母を看取るまで7年間の体験談。