誰でも簡単に自宅でできる12のトレーニングを紹介したDVD付きトレーニング集『谷本道哉のすぐやる健康体操』(谷本道哉:著/中央公論新社)

いまのピンチをチャンスに変えて

皆さんが気になるのは、筋トレの頻度かもしれません。スクワット、プッシュアップは週3回、1日おきに行うのが良いでしょう。

筋トレは筋肉にしっかりと刺激を与えることが大切なので、「これを毎日やるのは、とてもムリ!」と感じる負荷と回数で行ったら、翌日はしっかりその部位の筋肉を休ませるのが正解なんです。毎日ラクにできたら、それは追い込めていない。(笑)

でも、習慣として取り入れる以上、「1日おきだと忘れそう」「怠けそう」と心配な方もいるでしょう。そういう場合は、今日はスクワット、明日はプッシュアップ……と交互に行えばいいですね。

ランジウォークとカーフウォーク(5ページで紹介)は頻度は特に考えず、日常的な歩行にときどき取り入れて、「ちょっとキツいな」と思うまで続けましょう。「キツいけどつらくない!」「楽しくなってきた!」と自分に声をかけてください。「筋肉がしんどい」のは効果が上がっている証拠ですよ。

たとえばパンプアップといって、強い刺激を与えて乳酸などの代謝物がたまってくると、浸透圧の関係で筋肉がパンパンに張ってきます。すると発痛物質が出て、「もう限界だよ。動かさないで」と教えてくれるのですが、筋トレを愛する私たちは、この痛みを無視してさらに追い込むと一種の「ハイ」状態になる。嬉しくなってくるんです。(笑)

しかし初心者の皆さんが、最初から頑張りすぎて、家事や仕事に支障が出ても困るでしょう。最初の1、2週間はフォームを覚えることを目的に余力を持って行い、慣れてきたら徐々にキツくしていけばいいと思います。また、終わったらストレッチやマッサージで身体をほぐすのも、おすすめです。

生体のバイオリズム的に言えば、一日のうち夕方以降に力は出ます。筋力を測ると、午後のほうが数値はよいものです。でも筋トレは、「いまやろう」と思ったら1秒後に始められるのが利点。時間帯は気にせず、思い立ったときに行ってください。「いまやろう」と思ったなら、体調も良いはずですから。

筋肉の材料となるたんぱく質は積極的に摂りましょう。たんぱく質は摂取するたびに筋肉の合成反応のスイッチが入るため、1回にまとめて食べるよりも、朝・昼・晩、できれば間食でも、「何回しっかり摂るか」が大切です。

手軽なのはたまごですが、最近はたんぱく質の量を明記した商品が増えています。3倍濃縮タイプの「ギリシャヨーグルト」は脂質が抑えられている商品が多いので、魅力的です。また、多くのコンビニにプロテイン食品のコーナーがありますから、砂糖や脂質が少なめのものを選びましょう。

生活に筋トレを取り入れれば、自分の体調について気にかける機会が増えてくると思います。コロナ禍は私たちの暮らしに多大な影響を与えましたが、運動不足だと気づいたことで、積極的に身体を動かそうという機運が高まっている。むしろ良い傾向だと私は捉えています。いまのピンチをチャンスに変えて、「筋肉を諦めない」人生を歩んでください。